ドッグフードの値段におののいてしまう
なつめがやってきて約1週間。家に柴犬がいるとついつい「よもぎ」と呼んでしまう。特に家族。私が率先してつけた名前なので、私が率先してなつめの名前を呼ぶ。なっちゃん、おなつ、が多い。
よもぎのことは「よもぎさん」だった。わりと小さいころから思わず「さん」づけしてしまうような貫禄があったのだ。
なつめは何をするにも勢いがある。その激しい動きを見ているこっちはハラハラの連続。
勢いよく倒れこむので、頭を打っていないか心配する
勢いよく起き上がるので、筋を痛めないか心配する。
勢いよく食べるので、むせないか心配する。
そのよく食べるごはんは朝晩の2回。ブリーダーさんに聞いて、同じドッグフードを購入するべく教えてもらった。すると見たことのないパッケージ。自宅周辺だとドラッグストアなどには売ってはおらず、ペットショップで見つけた。
値段を見てびっくり。ざっと計算したところ、よもぎが食べていたフードの約3倍。世の中にはこんなドッグフードもあるのだな。以前よもぎを病院に連れて行ったとき、ドッグフードを買いにくる人がいて、あれって高いんだろうなと思った記憶がよみがえった。あれはこのドッグフードに比べてどうなんだろう。
ブリーダーさんからは「別に同じものを与えなくてもいいですよ。ただし、換えるときは、一気に換えるのではなく、これまでのフードに新しいものを少しずつ混ぜながら。時間をかけて新しいほうの割合を増やしていくように」と言われている。
新しい環境で暮らすのだから、せめてごはんくらいは同じものをと思っていたが、ちょっと考えてしまった。というか今も考え中である。
よもぎのときは、スーパーやドラッグストアなど幅広く購入可能な「柴犬」用ドッグフード。でもこれも年齢を重ねるにつれ、だんだん食べなくなってきた。とにかく食べさせたい一心で、いろんなレトルトやおやつ的なものの中から、お気に召したものだけをあげるようになった。しかも同じものが続くと拒否するから、選抜アイテムでローテーションを組んで。
そのときの費用といろいろ揃えたりする労力を考えれば、同じくらいかなあとも思う。
それに喜んで一心不乱に食べている姿を見ると、まあ多少高くてもという気にもなってくる。健康でいてくれるのが一番である。
ただ、ほかのものでも喜んで食べるのかもという考えも浮かんでこないことはない。ふたつの気持ちがせめぎ合っている。
誰かに頼まれたわけではなく自分が望んだお迎えなのに、最初から出し惜しみの方向へ向かう自分にあきれてしまう。やはりこれまでの人生分の時間をかけてできあがった思考パターンはそう簡単には変わらないか。
おなつ、あなたはとってもいい子だから、こんなふがいない飼い主のもとでもすくすく育ってくれるはず。すやすやと眠るなつめを見ながら勝手にそう念じた。