柴犬なつめがやってきた
いよいよお迎えの日。
我が家にはよくあることだが、前日の夜までバタバタしていた。
2週間かけてそれなりに整えたはずなのに、お迎え前日にあたる昨日の夕方に差し掛かるころ、これだとここがまずいよね?と気になり始め、そこから夜にかけてもう一度配置換え。これまでの経験をもとに、ありったけの想像力を働かせる。時間と労力をかけた甲斐あって、いい部屋ができた。カーペット1枚分がなつめ専用のスペース。
ただ最初からスムーズにはいかないだろう。それは肝に銘じておかなければならない。
少し緊張しながらブリーダーさん宅に到着。
「サルみたいな顔になってますよ」
えっ、サル!? 2週間ぶりに会う我が子は、かもめ眉がよりくっきりしていた。帰り道には、家族が『こち亀』の両さんみたいと言う。女の子なんですけど。
聞けば現在体重は8kg。成犬のよもぎよりももう重い。手も足もがっちりしている。でも顔は子犬。ぬいぐるみのよう。
「かなりブラッシングやったんですけど、車や洋服に毛がつきますよ」と気遣ってくださった。こちらも一応経験者面して「覚悟してきたので大丈夫です」と答えたのだが、本当にすごい。甘っちょろい覚悟だったとすぐに思い直す。
家に着くなり、外でブラッシング。なかなか家に入れてもらいえない厳しい家だと思われたら困るが、そんなにきれいでない我が家でも、そのまま入るのはためらわれる。
少しのやっただけで大量の毛。
水も飲み、夜のごはんもしっかり食べた。
ふと見ると、カーペットのど真ん中に転がる犬。来たばかりだと、部屋のすみっこでかたまっている犬もいると聞いて心配だったけど、ひとまず胸を撫で下ろす。適応力の高い、それこそ天真爛漫な子だ。
ひとりにしておくのが心配で、夜中何度か見に行く。こちらの足音に気づいて起きている。うん、なんか大丈夫そう。
朝起きて、なつめの部屋に入ると、しっぽを振って寄ってくる。これぞ犬という典型的な行動にもかかわらず、ツンが多めのツンデレよもぎとの長年の生活に慣れてしまっていた私は、不覚にもうろたえてしまった。
こうして、かわいくてかわいくて愛くるしいなつめとの生活が始まった。