あなたちゃんと見るのかしら?
今年も桜を見た。咲き始める前はそんなに騒がなくても、と冷ややかな目で見てしまっていたが、やはり咲いているのを見ると、冷めた目も熱を帯びてくる。
ここ数年欠かさず見に行く場所が3か所あり、今年も全部回ってきた。
そのうちの1か所は友達と行って、花が楽しみになるなんて大人になったね、と目を細め合った。
高校の春の遠足は、毎年GWが始まる前日、つまり4月28日だった。
行先は高校から10kmほど離れた、桜とつつじが有名な公園で、徒歩で行きそこで2，3時間過ごしてまた徒歩で帰ってくるというコース。
毎年遠足が近づくと、生徒間で次のようにディスるのが定番になっていた。
こんな時期に行ったって、桜はもう終わっているし、つつじにはまだ早いし。
私も家族の前でエラそうにそのままなぞった。
今なら、あなた花なんてちゃんと見るのかしら？と大人風を吹かせたくなる。
それでも。この日は丸1日授業から解放される。次の日からGWと言っても、最終日に模試があるから勉強しなければならない。束の間の勉強から離れた時間だ。
ダラダラしゃべりながら歩き、公園でお弁当やお菓子を食べながらまたしゃべる、そんな思い出が今でも残っている。
集団行動が昔から苦手な私にとって、一番気楽な学校行事だったかもしれない。修学旅行なんかは1ヶ月以上前から憂鬱だった。
そして帰り。「ああこのまま帰りたい」と言う子が出てくるのも毎年恒例。私は学校の近くに住んでいたので全くの部外者だったが、この公園の近くに住んでいる子が一定数いるのだ。それを10㎞歩いて学校まで戻り、また自転車をこいで帰る。なんなら部活してから帰る子も。
高校時代の遠足なんてずっと忘れていたのに。思い出したのは、数年ぶりに友達と見たからだろうか。
