日々の記録

生後8カ月でお迎えした柴犬なつめと暮らしています。アイコンは先代柴犬よもぎ(2007~2022)です。

2023年3月15日:私のことよく見てる

この時期、あちこちから沈丁花の香りが漂ってくる。この独特な香りを嗅ぐと、いつもあのときの記憶がよみがえってくるから、いつまでたっても忘れられない思い出となっている。

 

だいぶ昔の、もうすぐ大学4年生になるというこの時期。私は周囲に後れを取らないことに必死になって、就職活動に勤しんでいた。

ある日の夜、私は当時お付き合いをしていた年上の彼に、その日あったことを話していた。

そして、こんな話をした時である。

 

今日ね、会社訪問で両国駅前を歩いてたんだけど、急にふわっと懐かしい香りがして。あたりを見回したら沈丁花が咲いていたの。それ見て、ああ全然周りを見ていなかったなと思ったんだ。

 

それを聞いた彼の反応は

 

へー、(私の名前)ってそんなことも思うんだ。

 

一瞬むっとしたが、この人私のことよく見ているなと思った。まだ付き合って半年くらいだったのに。コンプレックスだらけのこんな私にも恋人ができた、とまだ信じられないようなふわふわしていたころである。

若いころは本当に無頓着で、身なりが整っていないとか部屋が汚いとか全く気にならなかった。自然がどうこうという以前の問題である。沈丁花も実家の庭にあったから分かっただけで、当時は名前もうろ覚えだったという有り様であった。

そんな私も今では、整理整頓や掃除には細かくなっているし、四季の移ろいを感じたり、花や緑を愛でたりするようになった。

沈丁花の香りは、今年も自分の変化に気づかせてくれ、あのときでしか味わえないであろう切なさも運んでくれた。